中学で得た唯一の宝物

時間が巻き戻せるならいつに戻りたい？と聞かれると少し考えてしまうのですが、絶対に戻りたくない時代だけは食い気味で答えられます。中学です。

卒業式でクラスメイトほぼ全員が泣いている中一滴も涙を流さず、卒アル一番後ろの白紙ページに誰からもメッセージを貰わず、別れを惜しまず、3年間使った通学路に想いを馳せることもなく、帰宅した瞬間ブレザーに挿した卒業おめでとうの造花をゴミ箱に捨て(やっと終わった…)と思ったことを今でも鮮明に覚えています。それぐらい嫌いでした。この世で一番嫌いな四字熟語は「地元最高」です。

でも通ってよかったなと思ってます。私の学年から地区内の中学が自由に選択できる制度が採用されたのですが、時間が戻ってもこのクソみたいな中学を選ぶと思います。なっちゃんがいるから。

なっちゃんと出会ったのは中1の時で、漫画を借りたことをきっかけによく話すようになりました。確かシャーマンキングだったかな。デスノートをまとめて貸してくれた時は「ごめん！Lが死ぬ巻だけ用意できてない！」と言われ(あ……Lって死ぬんだ……)と少し残念な気持ちになったことを覚えています。

部活が一緒で、中2でクラスも一緒になって、中3の時にはほぼ2人で行動を共にしていました。

体育祭の打ち上げでみんなが自転車で集合する中、一人キックボードで颯爽と校門に現れるなっちゃん。修学旅行で国宝の大仏を見てたら膀胱炎で途中退場するなっちゃん。たまごといなり寿司くらいしか食べないくせに寿司が好きだと言うなっちゃん。ガストでハンバーグを食べてたら「ここのシェフに礼が言いたい」と言うなっちゃん。いつも意味がわからなくて残念で面白い。他に友達いたっけ？と少し不安になるくらい中学生活はなっちゃんとの思い出しかありません。

そんな彼女が結婚式を挙げ、一児の母になりました。

結婚式の準備段階から色々不安がっていてちょこちょこラインをくれていたのですが、いつも列席の人たちにどうしたら喜んで貰えるかってとこで悩んでいて。終いには「私がカラードレスなんか着てみんな喜ぶのかな…」とか言い始めて。なっちゃんの式なんだからもっと自分本位になってよくない！？主役はお前だぞ！？と憤りを感じましたが、ああでもなっちゃんは昔からこういう子だったよねえって少し笑ってしまいました。

色んな経緯を知っていたし、気を遣ってあまり悩み相談とかしてこないけど馬鹿みたいに苦労してたのもわかってたから、結婚式当日に幸せそうな彼女を見られて色々こみ上げるものがありました。カラードレスちゃんと似合ってたよ。

機械に疎いけど、なっちゃんの晴れの日を誰よりも綺麗に撮りたかったので式前にiPhone5sからXに機種変更をしました。7ヶ月経過した今もまだ使いこなせていません。未だ顔認証ではなくパスコードでロックをかけています。なんだよFace IDって。顔面にIDもくそもあるかよ。

出産して赤ちゃんの写真をすぐ送ってくれた時はすごく不思議な気持ちになったのと、あ〜君はなっちゃんのところに生まれてめちゃめちゃラッキーだね〜って羨ましく思ったりもしました。いいな、なっちゃんがお母さんって。

お揃いの食器を3つ買ったり、言葉を発した瞬間に喜んだり、七五三や入学式といった節目節目に成長を感じたり、ディズニーランドに行ってバシバシ写真を撮ったり、クリスマスにはサンタの存在を匂わせたり、そういうテンプレートな幸せもそうでない幸せも余すことなく全てやってほしい。めっちゃくちゃ幸せになってほしい。私の妹と同率で世界一幸せになってほしい。

自分は家庭に憧れがない人間だし結婚願望もきっと人より薄いけど、結婚ってもしかしたらすごくいいものなのかもしれないなって思わせて貰いました。なっちゃんが喜んでくれるなら結婚式も絶対する。

いつもの2倍くらいの文量になってしまいました。

なっちゃん。膀胱炎のこと書いちゃったけどこれもう時効だよね。